シーンの基本的なGIの方式を定義します(各方法については以下を参照)。
•[IR(照度キャッシュ)(静止画)]:デフォルトの方式です。一般的に、静止画にはIRを使用します。
•QMC
•[IR/QMC(静止画)]
この方式のメリットは、非常に高い均質性と光の均一な分散を実現しながら、レンダリング時間は中程度であることです。
照度キャッシュ(IR)方式では、シーン内で多数のサンプルが必要な領域と不要な領域を特定しようとします。シーンの設定を分析してから、レンダリングを開始します。この事前分析時にシーンの構成を複数回スキャンし、テスト計算を実行して、画像の領域ごとに最適なサンプル数を算出します。これにより全体的な計算回数を最適化できるため、QMC方式と比較して、GIのレンダリング時間の一部を大幅に短縮できます。
•照度キャッシュ計算の調整:一般的に、これらの追加設定の定義済みの値を変更する必要はありません。
•照度キャッシュ使用時のデメリット:シェーディングポイント数の制限により、光とシャドウに関係する細かい詳細は用意されていません。この点では、QMC方式が優れています。ただし、IR方式は、このデメリットを補うために、QMC方式とIR方式を組み合わせた詳細拡張オプションを備えています。
「詳細拡張」を参照してください。
グローバルイルミネーションのQMC方式の計算は、いわゆる「総当たり」の原理に基づいて処理されます。これは画像のオブジェクトピクセルごとに、限定数の光線(「サンプルカウント」)をシーンの半球パターンに「放出する」ことを意味します。これは合理的なプロセスではなく、レンダリング時間が短縮されることはありません。
これには、最高精度のレンダリング結果が得られるというメリットがあります。IR方式では表示されなかったシャドウとシェーディングの細かな詳細をレンダリングできます。
QMCは「Quasi Monte Carlo」の略語です。このサンプルモードでは、計算ポイントがシーン全体にランダムに分散します。明るく照らされたオブジェクトや非常に詳細なオブジェクトなどに処理が優先されることはありません。このサンプル方式は画像内の全てのポイントを同じ処理能力で計算するため、理論上では最も精度が高くなります。この方式を使用するときのデメリットは、画像の解像度が高くなると、レンダリング時間が大幅に増加する点です。さらに、QMCレンダリングでは、不要なノイズが生成されることが多く、これには非常に高いサンプリングレートを使用しないと対処できません。一方、このサンプリング方式は非常にリアルな光の分散を生成します。
QMCサンプリング方式は、グローバルイルミネーションの全ての特性をサポートします。つまり、特定の拡散反射回数および光源と材質の両方を使用したシーンの照明を利用できます。
QMC使用時のデメリット
レンダリング時間が最大になります(照度キャッシュよりも大幅に長くなります)。さらに、ランダムに配分される限定数の光線(「サンプルカウント」)に基づく明るさと色値をピクセル単位で確認するため、画像が少し不鮮明になります。これを補正するには、サンプル数を増やすしかなく、それに応じてレンダリング時間が増加します。エリアライト/GIポータル(主に窓を通過した光が照射する室内シーン)を使用すると、レンダリングの品質を大幅に向上させることができます(レンダリング時間も短縮できます)。