Archicadによるプロジェクトの作図では、平面的に指定された重ね合わせ順位に従って要素を重ね合わせます。デフォルトでは、要素は建築図面で一般に用いられている順位に従って重ね合わされます。
デフォルトの重ね合わせ順位は、6つの要素クラスによって決定されます。要素を配置する順序とは無関係に、第1クラスの要素は一番手前に置かれ、第2クラスは第1クラスの背後になり、以下、第6クラスまで順に続いていきます。
要素クラスの順位は、次のとおりです。
1.注釈(テキスト、ラベル、全ての寸法タイプ、ゾーンスタンプ)
2.2Dアートワーク(線、円、スプライン、ホットスポット)
3.ライブラリ部品(オブジェクト、ランプ、階段)
4.2Dファイル
5.3D構造(壁、梁、スラブ、ドア、窓、柱、屋根、メッシュ)
6.ゾーン
7.図形
同じクラス内での重ね合わせは、要素を配置する順序に依存します。ただし、同じ塗りつぶしを持つ複数の壁はきれいに交差します。
同じクラスにある重複要素を選択する場合は、Tabキーを使用して、要素を順次選択できます。
「重複要素のフィードバック」を参照してください。
Archicadのデフォルトの重ね合わせ順位はほとんどの場合適切ですが、別の重ね合わせ順位に要素を配置しなければならない場合もあります。例えば、2D要素やオブジェクトの上に重なる塗りつぶしの場合、[編集]→[表示順序]階層メニューのコマンドを使用するか、[要素を配列]ツールバーの関連ボタンを使用すると、デフォルトの重ね合わせ順位を要素ごとに無効にすることができます。
新たに配置された要素に対して、コマンドは次のように機能します。
•[上に表示]:このコマンドでは、選択された要素はそれ自体のクラスと下位のクラスに属する未変更の全要素の上に重なりますが、まだ上位クラスの要素より下にあります。
•[一番上に表示]: このコマンドでは、選択された要素がその他全ての要素の上に重なります。
•[下に表示]: このコマンドでは、選択された要素はそれ自体のクラスと上位のクラスに属する未変更の全要素の背後に移動し、その下に置かれますが、下位クラスの要素の上に重なります。
•[一番下に表示]:このコマンドでは、選択された要素がその他全ての要素の下に重なります。
•[デフォルトの順序に戻す]:このコマンドでは、前述したデフォルトの重ね合わせ順序に戻ります。
デフォルトの重ね合わせ順位とカスタマイズ用のコマンドは、両方とも、クラスと重ね合わせレベルという2つの順位設定メカニズムを基礎にしています。
Archicadでは、要素が14の重ね合わせレベルに配置されます。各レベルには、あらゆる要素タイプを配置できます。画面と印刷出力に表示される最終重ね合わせ順位は、重ね合わせレベルと要素クラスに基づきます。クラスには関係なく、ある1つのレベルに属する要素は全て、下位の重ね合わせレベルに属する要素の上に重なります。
新規の要素は、常にそれ自体のクラスの優先重ね合わせレベルに配置されます。重ね合わせレベルの設定は次のとおりです。
1~4:空き(デフォルト)
5:注釈
6:2Dアートワーク
7:ライブラリ部品
8:3D構造
9:2Dポリゴン
10:画像
11~14:空き(デフォルト)
上位と下位のそれぞれ4つの重ね合わせレベルは、デフォルトでは空きになっています。この重ね合わせレベルには、先に述べた[編集]→[表示順序]コマンドを使用して、任意のタイプの要素を移動できます。
[一番上に表示]コマンドと[一番下に表示]コマンドでは、選択された要素が既存の全要素の上に重なるまで(または既存の全要素の下に置かれるまで)移動します。移動先は必ずしも1番目または14番目のレベルであるとは限りません。多くの場合、その要素の上または下に、さらに他の要素を置くことができます。
最上位の重ね合わせレベルに移動されたテキストや寸法の上に他の要素を重ねることはできません。例えば、その上に塗りつぶしを重ねる場合は、テキストを1レベル下方に移動する必要があります。
重ね合わせレベルの異なる複数の要素を上方または下方に移動すると、各要素は1レベルだけ移動します。
タイプの異なる要素を上方または下方に移動すると、既存の全ての要素の上に重なり(または既存の全ての要素の下に置かれ)、相対的な重ね合わせ順位は維持されます。
ゾーンと塗りつぶしは、2つの異なるクラスの構成要素(ゾーンポリゴンとゾーンスタンプ、塗りつぶしとその領域テキスト)から成る複合要素です。この2つの構成要素は、常にそれぞれのクラスに従って順位を維持します。例えば、領域テキストは常に塗りつぶしの上に重なります。それぞれの重ね合わせ順位を個別に変更することは可能ですが、塗りつぶしとゾーン塗りつぶしを領域テキストとゾーンスタンプの上に重ねることはできないため、対になる構成要素も必要に応じて一緒に移動します。
DXF/DWG出力では、全ての要素が透過になり、非表示の要素や部分的に重なり合っている要素が完全に可視になります。