ソフトウェアの相互運用性は設計チームの作業効率を向上し、設計プロジェクトにおけるコスト障壁を大幅に削減します。エネルギー評価では、Archicadモデルから派生したプロジェクトの形状およびプロパティデータをエクスポートできます。これらの通信プラットフォームを使用して建築モデルデータを建築物性能分析ツールに直接送信することにより、時間のかかる計画を実行しなくてもすみ、建築物形状の再モデル化を省略することができます。
[エネルギーシミュレーションを開始]ボタンの隣にある矢印をクリックすると、データのエクスポートに使用できるファイル形式が表示されます。
注記:5つのエクスポート形式がリストされています。最初の2つ([gbXMLへエクスポート]および[PHPPへエクスポート])は、標準の機能として全てのArchicadで使用することができます。後の3つ([SBEMへエクスポート]、[VIPエネルギーにエクスポート]および[ベースラインビルディングとして保存])は、Archicadとは別売のEcoDesigner STARアドオン専用の機能です。これらのアドオン専用のコマンドは、Archicadライセンスに加えてEcoDesigner STARライセンスが有効になるまで使用することはできません。
gbXMLへエクスポート
XML(extensible markup language)は、ソフトウェアプログラム間で情報をやり取りできるコンピュータ言語です。グリーンビルディングXML(gbXML)オープンスキーマにより、BIM データを建築物エネルギー分析ツールに簡単に転送することができます。gbXMLは主導的な3D BIMアプリケーションや主要な建築物性能分析ツールでサポートされており、BIMからSIMへの相互運用における業界標準となっています。
専用のエクスポートパネルを使用すると、Archicadモデルから派生したプロジェクト形状とプロパティデータをgbXMLファイル形式で保存できます。
gbXMLを使用すると、Archicadから次のようなプロジェクトデータがエクスポートされます。
gbXMLプロトコルでは、IFCと極めてよく似た方法で3D建築モデルを記述します。gbXMLモデルは、専用のビューワーまたはgbXML形式と互換性のある建築物性能シミュレーションソフトウェアのグラフィカルインターフェイスを使用して表示することができます。
PHPPへエクスポート
認定を受けたパッシブハウス建築(主に小規模な住宅)は、極めて高いエネルギー効率を実現するため、厳しく明解な指示に従って設計されています。PHPPはDarmstadt Passivhaus Instituteが作成したExcelワークブックであり、パッシブハウス認定を目的としてプロジェクトのエネルギー性能を計算および文書化します。
Archicad では、PHPPバージョン7および9の両方をサポートしています。
注記:PHPP ExcelワークブックはDarmstadt Passivhaus Institute独自の製品であり、Graphisoft Archicadの一部には含まれません。PHPPおよびPassivhaus Instituteの詳細については、オフィシャルWebサイト(http://www.passiv.de/)をご覧ください。
[PHPPへエクスポート]ボタンをクリックすると、[PHPPエクスポート]ダイアログボックスが開きます。これにより、ポストプロセス用に建築情報モデルデータを指定したPHPP Excelワークブックに送信できます。
[PHPPエクスポート]パネルを使用して、テンプレートとして使用する公式のPHPP Excelワークブックを参照してから、プロジェクト固有のPHPP Excelファイルを別の名前で保存します。
以下の2番目のレベルのスペースバウンダリと材質プロパティデータは、Archicadからプロジェクト固有のPHPPワークブックの対応するフィールドにエクスポートされたものです。
パッシブハウスの指示では、所定の年間正味暖房/冷房需要(年間最大15 kwh/平方メートル)、年間特有一次エネルギー需要総計(年間最大 120 kwh/平方メートル)、および平均浸透(最大0.6 1/h)のしきい値を厳格に設定しています。
注記:建築物のエネルギー評価レポートの基本値セクションには、VIP-Core計算エンジンによって計算されたこれらの性能データが表示されます。
Archicadのエネルギー評価を使用して、パッシブハウスと同様のエネルギー効率の建築物を設計することができます。ただし、公式のパッシブハウス認定を適用するためには、完全なPHPP Excelワークブックを作成してPassivhaus Instituteに提出する必要があります。