IFC 属性、プロパティおよび分類参照データは、スキームと呼ばれるファイル(.xmlファイル)に保存できます。
IFCデータのマッピング以外に、スキームを使用してIFCデータにルールを割り当てることができます。IFCデータ値を持つArchiCADパラメータや数量値がマッピングされます。マップルールは、スキームの.xmlファイルにも保存されます。
[IFCスキーム設定]コマンド([ファイル]→[ファイル特殊]→[IFC 2x3])を使用して、スキームを管理します。
デフォルトでは、IFCマネージャーと[要素設定]ダイアログボックスのIFC関連部にスキームデータが表示されます。スキームでは、スキームデータのみエクスポートするか、全てのデータ(つまり、スキームデータに加えて、[IFC管理]ダイアログボックスで追加/表示したカスタムデータ)をエクスポートするかを選択できるため、IFCデータのエクスポートも管理します。
このチャプターでは、上記のコマンドの機能の概要を説明します。
スキームデータ定義
IFC 2x3標準で設定した属性データは、常にスキームに含まれています。プロパティや分類参照データの形式の新規データは、ダイアログボックス左側のIFCエンティティツリー(以後、「スキームツリー」)の要素に追加できます。
注記:
•スキームツリーには、IFC 2x3標準ドキュメントで使用可能かつArchiCADで編集可能な要素タイプや、割り当て、製品プロダクト、「親」の全てが含まれています( IfcAnnotationおよびIfcGridを除く)。
•ツリーリストは構造と設備範囲でフィルタできます。例えば、構造範囲に建築物要素(IfcBuildingElement)タイプ(IfcBeam、IfcColumnなど)を含め、設備範囲にIfcDistributionタイプを含めます。ツリーリストを、IFC割り当てタイプまたはIFC空間要素タイプ(IfcSpatialStructureElements:IfcSite、IfcBuilding、IfcBuildingStorey、IfcSpace)に絞り込むこともできます。
•スキームツリーにIFC要素エンティティのバリエーションを表示します。
-IfcWall:IFCマネージャーで表示と編集が可能なエンティティタイプ
-(IfcBuildingElement):IFCマネージャーに表示されない「アブストラクトスーパータイプ(abstract supertypes)」エンティティ
新規のプロパティまたは分類参照データをIFCスキーム設定に表示されている現在のスキームに追加するには、以下の手順に従います。
•[新規プロパティ/クラス]ボタンをクリックします。この機能は、 IFCマネージャーと[要素設定]ダイアログボックスに表示される同名の機能に類似したものです。例えば、「ePset_SpaceVentilationCriteria」という名前のプロパティセット内に、IfcSpaceエンティティ用にIDタイプ「Ventilation Type」のプロパティを作成します。
•[現在のプロジェクト設定を取得]ボタンを使用して、現在のプロジェクトで使用可能な現在のカスタム(非スキーム)IFCプロパティセットとプロパティ(IFCマネージャーまたは要素設定で定義)を全て収集します。このデータ収集処理の過程で、IFCエンティティタイプの少なくとも1つのインスタンス(例:1つのIfcWall要素)に既にカスタムデータが存在する場合、カスタムデータはそのIFCエンティティのデータ(例:IfcWall)として表示されます。この機能を使用して、例えば、インポートしたIFCモデルのカスタムデータをスキームデータに変換し、スキームファイル(.xml)に保存します。
•既存のスキーム(.xml)からデータをロード:
•[インポート]を使用してスキームファイルをロードすると、全ての既存スキームデータ(属性を除く)が削除され、インポートしたスキームのデータのみが作成されます。
•[結合]を使用してスキームファイルをロードすると、.xmlファイルのデータが既存のスキームデータに追加されます。結合する2つのスキームに同じ名称と場所(プロパティではプロパティ設定)のデータが含まれている場合、元の値がIFCマネージャーと要素設定の両方に保持されます(割り当てた値は失われません)。
スキームデータを設定するのに使用する要素が、スキームツリーに太字で表示されます。要素が階層の上位レベルにある場合(つまり、IfcWallなどの親要素)、それに属する子要素(IfcWallStandardCaseなど)は自動的にスキームデータが割り当てられます。ただし、子要素は太字で表示されません。こうすると、ツリー構造内でスキームデータが追加された場所を簡単に判別できます。また、子要素に割り当てられたスキームデータは青字で表示され、子要素の名称には括弧書きで親タイプ名が付けられます。青字での表示は、スキームデータが親レベル(黒字で表示)でのみ修正可能であることも示します。この親子関係が役立つ一例を挙げます。全ての建築物要素の共通プロパティを作成する場合、個々の建築物要素タイプ(IfcWall、IfcColumn、IfcSlabなど)に対して一つ一つ作成する必要はありません。その代わりに、上位レベル(IfcBuildingElementなど)で一度に作成できます。
新規のスキームデータは、ArchiCADパラメータ/数量(またはマップルール(次節を参照))が適用できない場合、斜体で表示されます。
属性以外のスキームデータの名前変更および削除(赤いXをクリック)が可能です。[スキーム設定を全てクリア]コマンドで、現在使用しているスキームの内容全体(マップルール、プロパティ、分類参照)を削除することができます。
IFCスキーム設定の現在の内容は、エクスポート機能の一部として.XMLファイル形式で保存することができます。このファイルは、新規または既存のプロジェクトにインポート([インポート])または結合([結合])することができます。上記のワークフローにより、再定義することなく、新規プロジェクト内の現在のスキームデータを使用することができます。
ArchiCADのパラメータと数量は、特定のIFC要素のIFCデータに割り当てることができます。データマッピングの利点:
•ArchiCADデータ(耐火等級など)とIFCデータ(耐火等級)の両方で共通の意味を持つデータは、2度入力(一度はArchiCADデータとして、2度目はIFCデータとして)する必要はありません。
•ArchiCADデータを固有のIFCモデルとして保存することができます。データは、特定の規格(COBieドキュメントや社内規格)や、特定のコラボレーションワークフロー(MEP、エネルギー分析、FM)、特定のIFCモデル受信側アプリケーション(Revit、Tekla、Allplanなど)に準拠させることができます。
データマッピングの特性およびルール:
•スキームツリー要素IfcElement、IfcSpace、IfcTypeObjectおよびそのサブ要素(いわゆる「子」要素)は、マッピング可能です。
•マッピングは、「単一値」タイプのIFC属性およびプロパティのみに適用できます。つまり、下記の要件が該当します。
•全テキスト、ラベル、論理タイプのプロパティに適用可能。
•例えば、「表タイプ」のプロパティには適用不可。
•参照分類データには適用不可。
•ルールを異なるレベルに割り当てることができます。例えば、IfcBuildingElementレベルにルールを適用することができ、子要素(IfcWall、IfcSlabなど)の全てにも適用できます。ただし、ルール(子要素レベルで青字で表示)は子レベルで再定義することができます。例えば、前述のルールはIfcWallエンティティ用に修正することができます。
ルールの作成方法:
1.マッピングを行うスキームデータ項目を選択します。斜体のスキームデータはマッピングできません。
2.[ルールを作成]ボタンをクリックします。[空のルール]フィールドが表示されます。
3.[パラメータを追加]ドロップダウンボタンからルール内容タイプを選択します。
•パラメータ(要素一覧表として)
•オブジェクトパラメータ(要素一覧表として)
•静的テキスト
4.フィールドをルールに追加します。例えば、「厚さ」は測長で、「面積」は面積測定、「ライブラリ部品名」は文字列といったように、フィールドにはタイプを設定することができます。ルールに一つ以上のフィールドが含まれる場合、フィールドは常に文字列に変換されたフィールドの連結になります。変換は計算単位に基づいています([プロジェクト設定]→[計算単位/規則])。例えば、壁の「高さ」フィールドは壁要素としてのみ評価されるなどのように、フィールドには黙示的にフィルターが含まれています。「一般」フィールドはツールレベルにもリスト表示され、その特定のツールに対してのみ有効になります。
5.文字列タイプのルールは分割することができます。分離線種や、分離線位置、分割タイプを利用して文字列を分割する方法がいくつかあります。例えば、[分割]を使用して、ライブラリ部品名を特定の断片に切り離すことができます。
6.ユーザーは複数のルールを単一スキームプロパティに割り当てることができます。これは、例えば、いくつかのツールを使用して同じIFC要素タイプを作成した場合に便利です。ルールは、UIに表示される順に適用されます。最初に表示された評価可能なルールが適用されます。
例:
1.IFC 2x3標準のIfcWindow用に設定した耐火等級に、窓の耐火等級パラメータをマッピングします。
2.壁IDとビルディングマテリアル/複合構造名の組み合わせを使用して、IfcWall要素の名称属性を定義します。
3.『ドアライブラリ部品名の一部 + 静的テキスト 「-」 + 幅 + 静的テキスト 「X」 + 高さ』を使用して、IfcDoorStyleの名称属性を定義します(上記の文字列タイプルールの分割を参照)。また、このルールは、プログラムの製品出荷時のIfcDoorStyle作成ルールを(「IFC製品タイプ」を参照) 新規のIfcDoorStyle名で上書きし、自動的に該当するドアを作成します(ユーザーはIFCマネージャーで結果を再確認することができます)。
どの要素にマップルールが割り当てられているかを確認することができます。プロパティには黒のロックアイコンが後に付きます。また、上記の要素には、IFCマネージャーおよび要素設定でも同じアイコンが表示されます。
一部の属性とプロパティデータには、事前定義済みのマップルールが付属しています。これらのルールは[IFCスキーム設定]ダイアログボックスには表示されませんが、(値を持っている場合)IFCマネージャーおよび要素設定でグレーのロックアイコンで表示さます。下表に事前定義済みのマップルールを示します。ユーザーは、IFCスキーム設定でこれらのマップルールを作成する必要はありません。
|
ArchiCADコマンド |
ArchiCADパラメータ |
IFCエンティティタイプ |
IFCデータ |
IFCマネージャー |
|
プロジェクト情報 |
プロジェクト名 |
IfcProject |
Attribute>Name |
可視/編集可能 |
|
プロジェクト情報 |
プロジェクトの説明 |
IfcProject |
Attribute>Description |
可視/編集可能 |
|
プロジェクト情報 |
プロジェクトステータス |
IfcProject |
Attribute>Phase |
可視/編集可能 |
|
プロジェクトの場所 |
プロジェクトの北 |
IfcProject |
Attribute>RepresentationContext>TrueNorth |
- |
|
プロジェクトの場所 |
緯度 |
IfcSite |
Attribute>RefLatitude |
可視 |
|
プロジェクトの場所 |
経度 |
IfcSite |
Attribute>RefLongitude |
可視 |
|
プロジェクトの場所 |
高度 |
IfcSite |
Attribute>RefAltitude |
可視 |
|
プロジェクト情報 |
敷地の名前 |
IfcSite |
Attribute>Name |
可視/編集可能 |
|
プロジェクト情報 |
敷地の説明 |
IfcSite |
Attribute>Description |
可視/編集可能 |
|
プロジェクト情報 |
敷地の住所→敷地の住所1 |
IfcSite |
Attribute>SiteAddress>AddressLines |
- |
|
プロジェクト情報 |
敷地の住所→敷地の住所2 |
|||
|
プロジェクト情報 |
敷地の住所→敷地の住所3 |
|||
|
プロジェクト情報 |
敷地の住所→敷地の私書箱 |
IfcSite |
Attribute>SiteAddress>PostalBox |
- |
|
プロジェクト情報 |
敷地の住所→敷地の市区町村 |
IfcSite |
Attribute>SiteAddress>Town |
- |
|
プロジェクト情報 |
敷地の住所→敷地の都道府県 |
IfcSite |
Attribute>SiteAddress>Region |
- |
|
プロジェクト情報 |
敷地の住所→敷地の郵便番号 |
IfcSite |
Attribute>SiteAddress> |
- |
|
プロジェクト情報 |
敷地の住所→敷地の国 |
IfcSite |
Attribute>SiteAddress>Country |
- |
|
プロジェクト情報 |
総敷地境界線長さ |
IfcSite |
BaseQuantity>GrossPerimeter |
- |
|
プロジェクト情報 |
総敷地面積 |
IfcSite |
BaseQuantity>GrossLandArea |
- |
|
プロジェクト情報 |
建造物名 |
IfcBuilding |
Attribute>Name |
可視/編集可能 |
|
プロジェクト情報 |
建造物 説明 |
IfcBuilding |
Attribute>Description |
可視/編集可能 |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の氏名→連絡先の敬称 |
IfcPerson |
Attribute>PrefixTitles |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の氏名→連絡先の名 |
IfcPerson |
Attribute>GivenName |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の氏名→連絡先のミドルネーム |
IfcPerson |
Attribute>MiddleNames |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の氏名→連絡先の姓 |
IfcPerson |
Attribute>FamilyName |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の氏名→連絡先の称号 |
IfcPerson |
Attribute>SuffixTitles |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先ID |
IfcPerson |
Attribute>Id |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の役割 |
IfcPerson |
Attribute>Roles |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の部署 |
IfcPerson |
Addresses>Postal> |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の会社 |
IfcOrganization |
Attribute>Name |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の会社コード |
IfcOrganization |
Attribute>Id |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の住所→連絡先の住所1 |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Postal>AddressLines |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の住所→連絡先の住所2 |
|||
|
プロジェクト情報 |
連絡先の住所→連絡先の住所3 |
|||
|
プロジェクト情報 |
連絡先の住所→連絡先の私書箱 |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Postal>PostalBox |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の住所→連絡先の市区町村 |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Postal>Town |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の住所→連絡先の都道府県 |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Postal>Region |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の住所→連絡先の郵便番号 |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Postal>PostalCode |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の住所→連絡先の国 |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Postal>Country |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先のメール |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Telecom>ElectronicMailAddress |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先の電話番号 |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Telecom>TelephoneNumbers |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先のFax |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Telecom>FacsimileNumbers |
- |
|
プロジェクト情報 |
連絡先のWebサイト |
IfcPerson & IfcOrganization |
Attribute>Addresses>Telecom>WWWHomePageURL |
- |
|
フロアの設定 |
高さ |
IfcBuildingStorey |
Attribute>Elevation |
可視/編集可能 |
|
ゾーン設定 |
名前 |
IfcSpace |
Attribute>LongName |
可視/編集可能 |
|
ゾーン設定 |
番号(No) |
IfcSpace |
Attribute>Name |
可視/編集可能 |
|
(要素)→設定 |
タグとカテゴリ→ID |
(IFC要素タイプ) |
Attribute>Name |
可視/編集可能 |
|
(要素)→設定 |
タグとカテゴリ→構造機能 |
(IFC要素タイプ) |
Pset_...Common>LoadBearing |
可視 |
|
(要素)→設定 |
タグとカテゴリ→位置 |
(IFC要素タイプ) |
Pset_...Common>IsExternal |
可視 |
|
(要素)→設定 |
タグとカテゴリ→リノベーションステータス |
(IFC要素タイプ) |
AC_Pset_RenovationAndPhasing>Renovation Status |
可視 |
|
一覧表→(要素) |
一般→ユニークID |
(IFC要素タイプ) |
Attribute>Tag |
可視/編集可能 |
|
窓/ドアの設定 |
プレビューと位置→幅 |
IfcWindow / IfcDoor |
Attribute>OveralWidth |
可視 |
|
窓/ドアの設定 |
プレビューと位置→高さ |
IfcWindow / IfcDoor |
Attribute>OverallHeight |
可視 |
|
(自動タイプ名前設定ルール) |
|
IfcColumn |
Attribute>ObjectType |
可視/編集可能 |
|
|
|
|
Pset_ColumnCommon>Reference |
可視/編集可能 |
|
|
|
IfcColumnType |
Attribute>Name |
可視/編集可能 |
|
(自動タイプ名前設定ルール) |
|
IfcBeam |
Attribute>ObjectType |
可視/編集可能 |
|
|
|
|
Pset_BeamCommon>Reference |
可視/編集可能 |
|
|
|
IfcBeam |
Attribute>Name |
可視/編集可能 |